「田園」41種聴きました

<p>&nbsp;第56回定期演奏会の練習も追い込みの時期に入っていますが、メーン曲目「田園」のレコード、CD等を我が家で探したところ、41種ありました。1月からほぼ2か月半かけて、ようやく全て聴きおえました。</p> <p>聴いた順番は、オーケストラの国別です。オーストリア、ドイツ、オランダ、フランス、英国、米国、日本といった順番です。そこで国別に感想と個人的評価をまとめました。特記の無いのはCD。なお、イッセルシュテット、ベーム(71年)、ケンペ(全集と単独の2種)、クーベリック(59年、73年)、クレンペラー、ワルターについてはLPでも持っており、演奏別では33種となると思われます。一応すべての演奏を改めて聴きなおしましたが、CDとの音質比較のために聴いたLPの中には、全曲聴いていないものもあります。</p> <p><オーストリア>すべてウイーン・フィル</p> <ul> <li> フルトヴェングラー(52年、LP)★★★★遅めのテンポでじっくり、深く聴かせる。他のベートーヴェンではわずらわしく感じることの多いアゴーギグは終楽章を除いて控えめ。擬似ステレオで音に広がりがある。</li> <li> 同(同、CD)★★★上記と同じ演奏だが、モノラルのせいか、音がやや硬く感じられる。</li> <li> クラウス(52年)★ライヴ。音質が悪く、ほとんど評価不能。</li> <li> モントゥー(58年)★★★★ウイーン・フィルの美質を生かす。滋味に富む。録音は古いがバランス良好。</li> <li> イッセルシュテット(67年)★★★ウイーン・フィルの演奏としてはやや速めのテンポで淡白。低音がやや薄い(LPは音質がよく、★★★★)</li> <li> ベーム(71年)★★★★★おおらかな曲想をじっくり、克明に描き切る。ウイーン・フィル、特に弦が素晴らしい(LPも★★★★★)。</li> <li> ベーム(77年、DVD)★★★★★日本公演ライヴ。ベームの指揮もいいが、ウイーン・フィルがやる気を出している。</li> <li> バーンスタイン(78年)★★★★前半を速め、終楽章を遅めのテンポで劇的に設計。終楽章は感謝の歌というより、宗教曲のような祈りの音楽。</li> <li> 同(同、LD)★★★★上記とほとんど同じ?チェロトップのシャイヴァインの演奏姿が見事。</li> <li> アバド(86年)★★★★2、5楽章などヴァイオリンを楚々とよく歌わせた美しい演奏。ただ、聴き通すと意外に残るものが少ない。 </li> </ul> <p>&nbsp;</p> <p><ドイツ></p> <ul> <li> ブロムシュテット=ドレスデン・シュターツカペレ(77年)★★★★オーソドックスで安定感のある演奏。</li> <li> コンヴィチュニー=ライプツィヒ・ゲヴァントハウス(59年)★★★重厚な「田園」。古き良きドイツの伝統を感じる。LPで聴けばさらに、と思わせる。</li> <li> クリュイタンス=ベルリンフィル(60年)★★★★指揮者のセンスとオケの分厚い響きがうまくマッチ。</li> <li> カラヤン=ベルリン・フィル(62年)★テンポが速すぎ、「田園」を味わうのに不適。</li> <li> カラヤン=ベルリン・フィル(76年)★オケはうまいが、あざとく聴こえる。</li> <li> バレンボイム=ベルリン・シュターツカペレ(99年)★★★ドイツの伝統を意識した意欲的な演奏だが、雑に聴こえる部分もあり、やや空回りか。</li> <li> クーベリック=バイエルン放送交響楽団(67)★★★★★独Audit盤。今回聴きなおして最も感動した演奏。特にヴァイオリンの歌わせ方は、耳?にうろこ。</li> <li> クーベリック=バイエルン放送交響楽団(70年?)★★★非正規録音盤。上記と解釈はあまり変わらないが、録音のせいか、完成度は及ばない。</li> <li> ケンペ=ミュンヘン・フィル(72年)★★★終楽章の盛り上がりが素晴らしく、かつては強く感銘を受けたが、CDだと、やや単調に感じることも(LPは全集★★★★、バラ★★★★★)。</li> </ul> <p>&nbsp;</p> <p><オランダ></p> <ul> <li> ハイティンク=ロイヤル・コンセルトヘボウ(86)★★★正攻法による誠実な演奏だが、もう少し奥行きが欲しい。録音良好。</li> </ul> <p>&nbsp;</p> <p><フランス></p> <ul> <li> シューリヒト=パリ音楽院(58)★★★★★団員が喜んで演奏している様が浮かぶ。指揮も曲のよさをさりげなく描き出す。</li> <li> クーベリック=パリ管(73年)★★★★★曲想に沿って、ごく自然にテンポを動かす。スケール大きく、奥行きも深い。オケは特に木管の表現が見事(LPも★★★★★)。</li> </ul> <p>&nbsp;</p> <p><スイス></p> <ul> <li> ジンマン=チューリッヒ・トーンハレ(97年)★★ベーレンライター版使用。スタッカートやリズム処理に特徴あり、微笑ましいが。</li> </ul> <p>&nbsp;</p> <p><イタリア></p> <ul> <li> フルトヴェングラー=ローマRAI(52年、LP)★★★イタリアでの録音。雄大な演奏だが、完成度はウイーン・フィル盤に及ばない。</li> </ul> <p>&nbsp;</p> <p><英国></p> <ul> <li> クレンペラー=フィルハーモニア(57年)★★★★スケール感に富み、偉大な「田園」だが、やや頑固。指揮者の個性が強すぎるきらいも(LPはやや柔軟に聴こえる。★★★★)</li> <li> クーベリック=ロイヤル・フィル(59年)★★★さっそうとした演奏。早めのテンポで正攻法だが、後年のゆとり、融通無碍はない(LPはオケの音に厚みがあり★★★★)。</li> <li> ザンデルリング=フィルハーモニア(81年)★★★★じっくりと腰をすえて取り組んだ演奏。ブラームス的?といえるかも。</li> </ul> <p>&nbsp;</p> <p><米国></p> <ul> <li> トスカニーニ=NBC(52年)★★★剛速球を投げ込んだ印象。指揮者と曲との相性がもうひとつか。</li> <li> ワルター=コロンビア(58年)★★★★温厚、牧歌的なイメージがあったが、聞きなおしてみると意外に辛口の表現も随所(LPは感興がより強まり★★★★★)。</li> <li> セル=クリーヴランド(62)★★★★堅物の印象だったが、柔軟な面も。悪くない。</li> <li> オーマンディ=フィラデルフィア(66年、LP)★★★高校時代、最初に聴いた田園。最近全集が復活して再評価。安心して聴ける。</li> </ul> <p>&nbsp;</p> <p><日本></p> <ul> <li> 朝比奈=新日本フィル(89年)★★★★朴訥、気宇壮大な田園。朝比奈はカラヤンと同年生まれだが演奏は対照的。</li> <li> 朝比奈=大阪フィル(97年)★★★★★さらにスケール、味わいが増す。音質も良好。</li> </ul> <p>&nbsp;</p> <p>【まとめ】</p> <p>すべて家にあったもので、それぞれ何回か聴いていたはずですが、改めて集中的に聴き直すといろいろ再発見があり、面白かったです。</p> <p>・クーベリック、シューリヒトと、フランス組が思いがけず非常によかったです。</p> <p>・ウイーン・フィルの演奏は誰が指揮者であっても高水準で、しかも「これぞウイーン・フィル」という固有の音や表現が聴けます。ベートーヴェンがウイーン郊外の田舎で作曲した曲だから、手の内に入っているのは当然かもしれませんが。</p> <p>・朝比奈隆が他の名盤に負けず大健闘でうれしい限り。</p> <p>・CDとLPを聴き比べると、概してLPに軍配があがりました。CDは音の透明度が増す半面、どうしても中低音が薄くなり、迫真性が後退します。いかに復刻技術が向上しても、録音当時に刻んだ音を上回るのは難しいようです。</p> <p>以上、41組の田園の競演でした。なお、42組目はおそらく浜管のCDになるでしょう。</p>