ライスターの至芸を堪能

<p>タイトルを見て、「いよいよ非チェロ族のブログが始まった」と思った方、残念でした。このところのクラリネットとのご縁の延長で、今日、カール・ライスターのリサイタルに行ってきました(日経ホール)。実は何気にチケットを買ってあまり期待していなかったのですが、結果的には大収穫でした。</p> <p>まず、ライスターの矍鑠とした演奏振り。最初は椅子に座っての演奏なので、「やはり、年齢なのかな?」と思いきや、奏でる音楽は変幻自在、融通無碍。各曲の楽想にぴたりと寄せる解釈はあくまで自然で心憎いほどです。それでいて決め所は身振りを含めてしっかり決めます。チェロ奏者でここまで名人芸の語り口を聴かせる人はなかなか思い浮かびません。全盛期のフルニエならかくや、と想像するしかありません。技術的なことはわかりませんが、音も透明感にあふれ、常に穏やかで、フォルティシモでも決して声高になりません。この10年ほど、某教室とのご縁でクラリネット関連の曲を聴いたり演奏したりする機会が増えました。ライスターの演奏は、レコードや生である程度知っているつもりでしたが、今回はいやというほど、その実力を再認識しました(もっともあくまで門外漢なので、専門家のご意見もできればうかがいたいところです)。</p> <p>次に曲目です。もともとメーンでお目当てのブラームス第二ソナタは期待通りの名演でしたが、メンデルスゾーンとダンツィのソナタが自分にとっては新発見でした。メンデルスゾーンの若書きのソナタは「無言歌」のような繊細な歌心にあふれています。ダンツイは三楽章のピアノとの丁々発止の掛け合いが最高に楽しい。シューマン「幻想小曲集」は、ライスターの名演ともあいまってこの曲のよさを再認識させられ、書棚で眠ったままのチェロ版を取り出して弾いてみたくなりました。</p> <p>最後に伴奏者です。佐藤卓史さんという、まだ二十歳代の方ですが、音楽的センスが抜群です。ピアノ・ソロでのシューベルト「即興曲」を耳にしたとき、あまりに素晴らしいので略歴を確認したら、「シューベルト国際コンクール」で第一位を獲得したとのこと。シューマン=リスト「献呈」も大変な名演でした。すでにピアノの世界では有名な人かも知れませんが、この人からは当分、目が離せないと思いました。</p> <p>アンコールを忘れるわけにはいきません。シューベルト「アヴェ・マリア」はライスター自ら「福島などの犠牲者に捧げます」と日本語でアナウンスしてから、祈るように演奏されました。演奏者、客席ともども落涙の、稀有の名演でした。</p> <p>今週は週初からいい演奏会に巡り会えてラッキーです。</p> <p>&nbsp;</p> <p>&nbsp;</p>